【自キ】Act-JP52"零式”について【疑似日本語配列】


 今回組み上がった自作キーボード、『Act-JP52”零式”』について少し書こうと思います。



・Act-JP52”零式”を組むきっかけ

 Act-JP52"零式"を組むきっかけとなったのは、3台のキーボードの存在です。ひとつは、自分が自作キーボードの世界に踏み込むきっかけとなった『山田75号(Yamada75 Go)』。もうひとつは、キーボード設計の可能性について考えさせられた『J73GL』。そして最後に、Happyな配列でおなじみのHHKBです。

 私は堕落猫さんが設計した山田75号と出会ったことで、自作キーボードの世界に足を踏み入れることが出来ました。タイミングというか、偶然が重なった結果でしたが、それが無かったら未だに自作キーボードはやっていなかったのではないかと思います。そして、その山田との出会いがあったからこそ、サリチル酸さんが設計したJ73GLに手を出す決断が出来、そしてそのケースとなるGL516の存在と基板頒布のためのガイドの存在が私に「もしかしたら、自分にも自作キーボードが設計できるのでは?」と思わせました。さらに、HHKBの誕生秘話を読んで感動していた私は、『自分だけのキーボード』という存在にとても憧れていたのです。

 スタートするまでに時間はかかりましたが、『自分だけのマイキーボード』をいつか手にしたいと思っていたので少しずつ自作キーボードの勉強を進め、「作ってみよう」と取り組むことにしました。それがAct-JP52の前身とも言えるキーボード、『Act-JP(仮)』でした。


・Act-JP(仮)


 上のキーボードが『Act-JP(仮)』こと、Act-JP66(仮)です。分割2Uスペースキー以外は特に特筆すべき点がない、皆考えるよね……という感じの60%レイアウトの日本語配列です。当初はこれでも良いかなと思ったのですが、堕落猫さんが日本語レイアウトの60%キーボードである『山田60』を設計されるということでレイアウト案を見た時に、このサイズで日本語配列なら自分が作るものよりも堕落猫さんが作る山田を使ってみたいと思ってしまったので、ボツになりました(苦笑)。

 これよりも少し前に「格子配列なら難しくなさそうだし(?)、空中配線で格子配列キーボード作ってみたいかも……」なんて思っていたこともあり、Act-JPの構想は一度消えかけました。


これはこれで組んでみたい気もする格子配列


・Act-JP52(仮)


 色々やりつつ、それでも『理想のマイキーボード』という夢が忘れられなかった芥川は、Act-JP66(仮)のレイアウトからキーを大幅に削減し、50%キーボードとして新たに考え直すことにしました。それがAct-JP52(仮)です。ちなみに、『Act』には芥川の『あくた』と演じるという意味の『Act』が込められており、『JP』は日本語配列であること、『52』は52キーのキーボードであることを示しています。つまり、『芥川の作る52キーの日本語配列を演じたキーボード』という訳です。

 当初、色々な参考文献を読み進めながら基板設計をして、PCBを発注するつもりでいました。……しかし、私は自分でも呆れるくらいデザイン系ソフトの扱いを不得手としておりまして、KiCADが満足に扱えませんでした。そのため、またもお蔵入りするかと諦めかけていたのですが、「まずはレイアウトが使えるかどうか確かめないとな。そのためには空中配線で試しても何も問題ないじゃないか」と開き直った(?)ことで、空中配線で試作機を組むことにしました。


・Act-JP52"零式"


 アクリルプレートでトップとボトムのプレートを作ってしまえば、空中配線でもキーボードは作れる。色々と読んできた中でそのことを知っていたので、私は遊舎工房さんのアクリルレーザーカットサービスを使ってプレートを製作し、空中配線でAct-JP52を試作することにしました。それが今回完成した試作機、『零式』です。

 プレートのデザインに関しては初期の大問題でした。何故なら、私はデザイン系ソフトを苦手としており、プレートのカットデータを作るなんて容易ではなかったからです。しかしながら、KLEのデータからアクリルプレートのデザインを出力できるPlate & Case Builderの存在があったため、難易度が少し下がりました。そこからレーザーカットの依頼を出すまでに時間はかかりましたが、どうにかビス穴も自分で追加でき、キーボード組み立てに必要なトッププレートとボトムプレートを製造依頼することが可能になりました。

 プレートが到着後、集めてあった部品で空中配線を行い、試作機である『零式』がキーボードの形を成しました。


 次に問題となったのは、ファームウェアです。これも参考文献を読みながら四苦八苦して作ったのですが、残念ながら初歩的なミスの連発でなかなか上手く行きませんでした。「出来た!」と思っても、キーレイアウトがメチャメチャなデータになっていたり、肝心なVIAやRemapでキーマップが変更できないという駄目なファームウェアでした。原因がどこになるのか、何を直せば良いのかわからぬまま試行錯誤し、最終的に記述間違えを修正することで症状は改善できました。


・『理想のマイキーボード』へ向けて

 完成した『零式』の仕上がりには100%ではありませんが、かなり満足しています。もちろん、本来であればもっとしっかりとした剛性感のコンパクトキーボードとなるはずが、見込みの甘さから剛性不足であったり配線が綺麗でなかったり……色々と不備、不満はあります。しかしながら、初めて作った『オリジナルキーボード』としては、ちゃんと使えるものが出来たのだから自分としては合格かな、と。『理想のマイキーボード』である、とはまだまだ言えませんが。

 キーボードというのは色々な形のものがあり、そのひとつひとつに思想や物語があると思います。そういったものの中に溶け込むにはまだまだだなと思いますが、もっと完成度を上げて、「これ、自分が自分のために設計したキーボードなんですよ」と笑顔で見せびらかせる日が来るように、このAct-JP52というキーボードを磨いていこうと思います。



この記事はAct-JP52"零式" / DUROCK T1 Shrimpで書きました。

コメント

このブログの人気の投稿

【VARMILO】押下圧35g! デイジー軸ってどんな感じ?