【自キ】自作キーボードを設計してみよう 3.プレートデザイン編【設計】


 前回まで(補足含む)の内容で、キーボードのレイアウトは作ることが出来ると思います。もちろん、完璧・最高を目指せばたった一度の設計で辿り着けるほど容易なことではありませんが、初めての『マイキーボード』を作るための準備は出来たかと思います。

 今回は、そのレイアウトを実現するための『プレート』を作りましょう。



 プレートをデザインする、といっても身構えるほどのものではありません。もちろん、しっかりやろうと思えば大変なことなのですが……幸いなことに、世の中には便利なサービスがあるものです。『Plate & Case Builder』を使ってプレートのデータを出力します。


 やり方は簡単です。レイアウトで使用したKLE、『Keyboard Layout Editor』のデータを使います。『Raw data』タブの『Upload JSON』で保存しておいたレイアウトデータをアップロードし、同じく『Raw data』タブの謎の文字列(レイアウト情報)をコピーしてそれを『Plate & Case Builder』にある『Plate Layout』の「・・・keyboard layout here・・・」と書かれているところにペーストしてください。


『Switch Type』は『MX {_t:1}』という正方形っぽいものを選んでください。とりあえず他はいじらずにそれで『Draw My CAD!!』をクリックすると、プレート画像が出力されます。


 出力されたデータはプレート画像の右上にある3つのボタンから保存できますが、SVGで保存しましょう。これは『Inkscape』または『Adobe Illustrator』で処理をするために使います。処理、というのはこのデータをプレート加工会社に提出できるデータにするということですね。アクリル加工に特化した会社や、自分も利用した遊舎工房の加工サービス等ありますが、ここでは自分が経験したからということで遊舎工房を利用するケースでお話をします。加工データの作成ルールは会社毎に違うかもしれませんので、利用したいところが指示しているデータ作成ルールでプレートの加工データを作成しましょう。

 ちなみに、出力したデータは単純にキーレイアウトに合わせて出力されただけですから、デザイン的な美しさといったものは特にありません。余白が欲しい、角は丸めたいという好みがあるのでしたら、『Edge Padding』や『Plate Corners』の数字を調整して良い感じにしてみましょう。デザインに自信がある場合はデザインソフトでプレートを自分でデザインすると、唯一無二な自分だけのプレートを作れるかもしれませんね!

私はデザイン力皆無なので、基本データに対して余白を+2.5mm、角を2.3813mmで調整


 デザインやイラストを手がけている方でしたら『Illustrator』をお持ちかもしれませんが、そうでない私のような方は『Inkscape』を利用して提出用のデータを作成します。お使いのOSに対応したものをインストールしてください。使い方やヒント等は公式サイト等で見られますので、分からない部分は活用してください(私も詳しいわけではないので調べることが多いです)。

 遊舎工房を利用する場合はテンプレートがありますので、そちらをダウンロードしましょう。A5、A4、450x300という3種類のプレートサイズがありますが、作成したプレートのサイズによって適宜選んでください。もちろん、大きければ大きいほど、料金は高くなります。

遊舎工房テンプレート(450x300)にプレート画像を貼り付け、加工したもの

 テンプレートに先程出力したプレートの画像を貼り付け、ビスを通す穴を四隅に追加した上でそれぞれの線を指定通りに色変更しました。線の細さもルール通りにしてありますが、Inkscapeだと『線幅を0.001mmにすると見えなくなってしまう場合は0.1mmで大丈夫』であるということなので、見えなくなってしまったので0.1mmにしてあります。細かい部分は利用するサービスのデザインルールに従って行ってください。
 ビス穴に関してはこのプレートでは四隅に開けただけですが、使用する予定の2mmアクリルでは強度的に中央付近が支えきれません。基盤を使う場合はある程度カバーできるかと思いますが、アクリルプレート1枚だけではさすがに厳しいです。そのため、ビス穴を追加したいところですが上手いこと開けられるスペースが作例のものだと作れません(パーツ間距離が足りない)。そのため、多少の誤差は出るかもしれませんがアクリルプレートで支えることにし、少し余ってしまったテンプレートの隙間に端材パーツのようなものを詰め込みました。実際に筆者が試作した際とデータが違いますが、こちらはより洗練された(?)ものになります。たぶん
 ビス穴に関してはM2サイズのビスを使用する想定で円/弧ツールで正円にして直径2.2mmで開けました。ビスやアクリルの誤差があったとしてもどうにかなるサイズかな? という判断ですが、ここは正直なところ自信はありません。ビスがひっかかるということは試作品に関しては無かったですが、大きすぎてゆるゆるよりかは後からピンバイスで拡張するくらいでも良いかもしれません。……が、失敗するとアクリルを割る恐れもあるので難しいところですね。
 上手くテンプレートに収めることが出来れば、アクリルプレートを重ねて両面テープで固定する、といったことも可能です(遊舎工房で加工可能なサイズですと全部塞ぐ形での積層は難しいかと思いますが)。ビス穴が不安、見た目的にビスを見せたくないということでしたら、そういった手もあるということを頭の片隅に置いていただければ。小さい、テンキータイプのパッドサイズとかでしたら現実的かもしれません。

 出来上がったデータは依頼先の定めた方法で提出しましょう。会社毎に違いがあるかもしれませんが、問題があれば修正指示があるかと思うので、来てしまった場合はそれに従って修正しましょう。無事にデータ受け渡しが完了すれば、あとはプレートが出来上がるのを待つばかりです。
(データ修正で追加料金が発生する場合もあるかもしれません。発注する前にそういった点も確認しておきましょう)
 アクリル加工をどこに依頼するのか、についてはケースバイケースかなと思います。安さを追求するか、希望する加工が出来るところを選ぶか、納期が早いところを選ぶか……。そのあたりは色々検討していただくしかありませんね。

試作時のアクリルプレート

 アクリルが到着すれば、いよいよキーボードの組み立て……ですが、その前に必要な部品を確認しましょう。
 次回は『4.組み立て準備編』です。

遊舎工房ではたまに加工サービス半額セールのようなものを行うことがあるので、特に筆者のように大きなアクリルを加工依頼する場合はそういったものを利用すると少し安く作れます。私も試作時にお世話になりました。いつ開催するかはわかりませんので、タイミングが合ったら嬉しいキャンペーンですね。

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