【自キ】日本語入力を最低限行えるキーボードとは?
以前、30%キーボードで文章を打てるのか? といった感じの記事を投稿しました。使っている当人(私)からすると、「30%でも普通に文章打てるな……?」という感じなのですが、使う前の私からすると信じられない結果ではありました。
今回は、日本語入力を最低限行えるキーボードとはどういったものなのかを、30%レイアウトをスタート地点として雑に考えていきます。なお、なぜ30%をスタート地点とするかですが、私個人が日本語文章を打つ上で「さすがにこれ以上省キーになったら打てないな」と感じているためです。
(注:筆者はQWERTY配列しか使えません)
30%レイアウトというと、その定義といったものが何なのかですが……私は基本的にはフルキーボードに対してのキー数比率で考えています。
(他にはフルキーボードから特定のキー群を減らしていって%を下げていくような考え方があるようですが。たとえばテンキーを無くしたら80%、そこからファンクションキーを無くしたら60%、といった具合に)
当該キーボードのキー数÷109キー(注:日本語配列、109キーボードを想定)×100
Acty-31の場合は31キーですから、
31÷109×100=28.44(%)
となります。
28.44%を30%と言って良いかどうかの問題はありますが、四捨五入で30ということにしましょう(論文ではないため、そこはまあザックリと)。正確性が必要、ということでしたら33キーが(109キーをフルキーボードとして想定するのであれば)30%キーボードということになるでしょう。
109キーボードについての参考:キーボードの種類を知りたい(エレコム株式会社)
さて、とりあえず定義云々はぬるっと置いておいて(?)、本題に入りましょう。
・日本語入力をする上で必要なキーとは?
通常の文章入力、今回の場合は日本語文章での入力としていますが、それに必要な物はあいうえお50音、『、』、『。』、『!』、『?』です。数字も必要ではありますが、たとえば1は「いち」の変換で入力出来ますので(手間、手数を考えなければ)、問題ないでしょう。あいうえお50音は46個+濁音、吃音と明らかに33キーを越えますが、ローマ字入力であればアルファベット26個で済みます。これに確定のためのエンター、書き直しのために必要なバックスペース、そして変換のための変換・無変換、言語切り替えのキーがあれば最低限、日本語入力は出来るはずです。
そうそう、35キー……35キー?!
35キーは32%なので、約30%ではありますが……適当に配置したとはいえ、飛び出してしまっている4キーははみ出し感が凄まじいです(注:お気持ち)。見栄えを気にしないのであれば、これでも良いかもしれませんが。
30%である、ということを(今回の趣旨とやや違う気もしますが)前提とするのであれば、許容できるのは四捨五入を考えて38キーです(約34%)。では、限界までキーを入れるとすると、どうなるでしょうか?
スペースキー、『「』、『」』を入力出来るようにしました。所謂『かっこ』は会話文を挿入するような場合、特定の言葉を強調したい場合などに用いられるかと思います。なので、あると便利です。私としてはとても微妙な位置にはなりますが、『!』は最下段右に移動しました(位置調整)。これなら日本語文章を入力出来るはずです。
しかしながら、『「』、『」』は『かっこ』の変換で打てますし、『?』や『!』も同様に『はてな』、『びっくり』の変換で打てます。入力にかかる手数、手間という部分を『必要経費』として許容するのであれば、それらのキーは無くても良さそうです。ただし、ここに無いシフトキーが必要になるケースがあります。英名等を入力する際、大文字を入れるのにはシフトキーが必要になります。辞書登録されている単語であれば変換機能を使って入力することも出来ますが、固有名詞のようなものですと難しいでしょう。
シフトキーを追加し、前述のキーを削除して修正しました。いくらか、スッキリしたように見える35キーレイアウトです。変換と無変換、言語入力切り替えとして半角/全角があればどうにかなりそうに思えます。とりあえずの文章が打てそうな気がしてきます。
記号系が変換による呼び出しとなるのは入力手数的にはマイナス要素ですが、「文章を打つ」という流れでやることと考えれば、不慣れなレイヤー操作とどう違うか? という気もします。どこにあるかわからない(覚えられていない)レイヤーキーとのコンビネーションを探すよりも、手数が増えても何を打てば良いかわかっている状態の方が精神的疲労と時間消費という点では(僅かでも)勝っているよう思えてしまいます。
これで十分、と思いたくなるところですが、機能的な問題としてEscとコントロールキーは無いと困るかもしれません。layerで入れたら良い、というキーではありますが、今回の趣旨としてはlayer0だけで日本語入力に支障が無いキーボードを最小限の構成で、ということなので、必須となりそうなキーは可能な範囲で盛り込むことになります。
なんとなく整えてみました。既存キーボードのレイアウトとの差異は殆どありませんが、Ctrlと半角/全角の位置取りで癖があるかもしれません(Ctrlの位置は私にとっては慣れたものですが、半角/全角は左Shiftと間違えそうですね)。
キー配置、サイズの理由について触れておきまましょう。まず、レイアウトについてですが、奇異をてらったレイアウトにしても使いやすさという境地に至るのは容易ではなく、ありふれた日本語配列キーボードから切り替えても問題が無さそうなレイアウトというものを優先しています。その上で、変換・無変換については親指で打ちやすい位置とサイズ感というものを考慮しつつ、全体的なバランスを考慮して配置しています。結果として通常手に入りやすいキーキャップセットでは再現しにくいレイアウトになりましたが、今回は自作キーボードキットを作ろう、作りやすくしようという趣旨ではないのでその点については無視します。
スペースキーが2.5Uとやや中途半端ですが、2Uでも良いかもしれませんね。3Uはアリかもしれませんが、変換・無変換が左右に開いてしまう方向なので避けたいところです。
今度こそこれが最低限、日本語入力が出来るキーボードの完成……と、言いたいところですがPC操作を行う上でファンクションキーの問題も出てくるかもしれません。表層的には無くても困りませんが、いざという時にファンクションキーが無いのは困るケースもあるでしょう。となると、ファンクションキーを追加するか、必要になることもあるが普段は使わないので下層layerに収めるか、ということになります。
・必要になるかもしれないキーを邪魔にならない範囲で入れる妥協
10キーを追加するというのは多過ぎ、30%クラスのサイズ感で実現したいという当初の目的に反することになります。必要になることもあるが、使わないことが多いかもしれないキーであればlayer1に押し込めてもあまり困らない気がしますし、この程度であればレイヤーキーはひとつで済むのでスペースキーにホールド&タップで共存させれば分かりやすく実現できます。
こうなると数字も使うし……と欲が出てきますが、「日本語入力を最低限行えるキーボード」を作ることが目標ですから、そこは妥協しましょう。何かを目指す上での妥協というのはもどかしいものですが。
・考えてみて、思ったこと
出来上がったレイアウトは、やや細長く見えます。全体的にはコンパクトで、最低限の機能性しか持たないキーボードです。数式等の記述に必要な記号を配置していないため、プログラミングには全く使い物にならないキーボードでしょう。同様に、エクセルでの作業にも向かないと思われます。ただし、最低限の日本語入力は可能なはずです。
これを実際に完成させ、使用してどの程度の満足感、もしくは妥当感を得られるかは難しいところです。私以外のテスターが試してみてどう感じるかはわかりませんが、私自身はここまでやっておいてなんですが、「べつにこれくらいなら作らなくても良いかな……」と思ってしまいます。これについては私自身が現状でActy-31という30%キーボードに満足しており、日本語入力に支障が無い状態となってしまっているのが大きいかなと思います。ちょっと楽かも、とは思いますが……積極的に作ってみようと思えるほどの魅力は(今回のこれでは)感じられませんでした。
自作キーボードの世界において、日本語配列キーボードというのはまだまだ希少な存在に思えます。そこがネックとなって手が出せないという人もいる(いた)でしょう。日本語キーキャップについてはサリチル酸さんのAcid Capsの登場で選択肢が増えましたが……。そんな現状で、一般的なキーキャップセットから逸脱したレイアウトでコンパクトさを追求しても、ちょっと先が見えないですよね。やはり使い慣れたキーボードに近いもの、キーキャップセットが手に入りやすいものが安心ですから。
なんとなく思い立って考えてみましたが、レイアウトは難しいですね……。もう少しこういう面での発想力があれば良いのですが。
この記事はActy-31で書きました。
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