【自キ】素人から始める自作キーボード設計、どうなの?【設計】


 これまでにAct-JP52、Acty-45というキーボードを作ってきましたが、私自身の機械工学やプログラム的な経験は皆無でした。そんな私が自作キーボードにハマり、自分で設計して組み立てるまでにはそれはもう色々な失敗と手助けを得ての道のりでしたが、今回は「自作キーボードを自分で設計したいけど知識が無いからな……」と躊躇している人の参考になればいいなという記事を書いていこうと思います。



 まず、これは何事にも言えますが最も大事なのは熱意です。知識や経験があっても熱意がなければ作ろうなんて気にはなれませんからね。逆に言えば、熱意さえあれば完成まで持っていくことは出来るかと思います。(資金的な問題は目を背けますが)

 作る上で必要な機材となると、PCは必要ですね。スマホやタブレットで済むから、と持っていない人もいるらしいですが……自作キーボードに興味を持つなら、PCは持っていますかね? 設計する上で必要になるので、活用しましょう。ファームウェア作成の段階でそこそこスペックがあった方が楽ですし、基板設計をするとなるとある程度のスペックが無いとソフトが落ちるっぽいのですが、まあ「教育用途に是非!」なんて謳っていたPCよりは性能あった方が良いくらいな感じでしょうかね……。自分はファームウェア作成のタイミングでモタつきますが、第8世代のCore-i7でメモリ16GBのノートPCです。参考までに。

(ちなみにサブPCは『教育用途に是非的なPC』とほぼ同スペックです。設計に使いませんが)

 なお、別途必要なソフトをインストールする必要がありますね。


 で、知識や経験的な部分ですが……ぶっちゃけ、理系方面の知識が私のように脆弱でもなんとかなります。プログラムとかワケワカラン……て状態でも、参考になる同人誌やblog記事を読みながらどうにかなります。サポートしてくれるようなサービスもありますしね。

 私は私の経験からしか話を出来ませんが、私がこうして自作キーボード設計と組み立てを進める上で参考にしてきたものは、多くのblog記事と同人誌です。特に、サリチル酸さんのblog『自作キーボード温泉街の歩き方』と同人誌『自作キーボード設計ガイド』(リンク先は基礎部分をまとめたVol1。ケースを設計するVol2も発行されています)にはかなりお世話になっています。これらを読んで私は自分のためのキーボードを設計することが出来ました。

 基本的に最近の自作キーボード設計というのは先駆者によるノウハウが公開されている影響か、基板設計が当たり前の流れとして紹介されていますが、海外サービスを利用することになるので(国内でも出来るところはあるのかもしれませんが、有名どころは中国の会社みたいですね)それは敷居が高いなという人には空中配線(手配線とも言います)で作ることも可能です。というか、ポンポン基板を設計して発注なんて出来なかった頃は空中配線が主流だったのかな? その辺りの流れはちゃんと把握していませんが、空中配線のノウハウなんかもblog記事で公開されているのでかなり参考になります。私は『手配線で自作キーボードを作る講座』を主に参考として空中配線にトライしました。

(ちなみに基板否定派的なスタンスなのではなく、海外サービスとのやりとりがちょっと厳しいなということで私は基板設計を進めるよりも空中配線に流れている感じです)


 基板製造サービスを使ってPCBA(製造工程で必要な部品を組み込んでもらう)しない限りは基板でもはんだ付け作業が発生しますが、トラブった時の部品交換とかにも使うのではんだごてとはんだは必要ですね。あと、はんだ吸い取り線(もしくは吸い取り器)。自分ははんだ付けがメチャクチャ下手ですが、自作キーボードキットを何台か組んだり、空中配線を2台組んだおかげで多少はマシになりました。……多少は。小さなパッドタイプの自作キーボードキットもありますし、「はんだ付け苦手なんだよなぁ……」という方は、そういうので練習すると良いかもしれませんね。自分はとりあえず欲しいキットを買って、それでチャレンジしましたが……まあ、部品を直接破壊しない限りははんだで故障させるというのもあまり無いと思うので、思いきってチャレンジするのも良いと思います。あとは、慣れです。



 空中配線で基板設計から逃れられても、逃げられないのがプレートの加工です。これは私が空中配線で組む流れの中では、一番苦手にしているかもしれません(まあ、ファームウェアも苦手ですが、参考文献を読みながらやればどうにかなるので)。1から作るとなると、自分はまだ出来ないですね……一応、前述の同人誌『自作キーボード設計ガイドにもその手順、ノウハウといったものが記されているので、それに従って作れば良いのですが……KiCad(基板設計で使うソフト)をちゃんと使いこなせていなくて大変なんですよね……あはは。なので、今のところプレートに関しては『Plate & Case Builder』というサービスを頼っています。それでレイアウトと数値を組み合わせてイイ感じに調整したら、Inkscapeというソフトでレーザー加工依頼用のテンプレートに合せて処理しています。ただ、さすがに現在進めているキーボードの組み立てが終わったら、基板やKiCadを利用してのプレート製作に手を出したいですね。

 私はアクリルの加工を遊舎工房さんのサービスを利用してお願いしています。たまに半額サービスとかやっているので、タイミングが合えば安く仕上げられるかもしれませんね。他にも探すと色々あるみたいですが、これは予算と都合(依頼先とのやりとりがどの程度可能か、等)で決めたら良いかなと思います。実際に使用した方のblog記事とかで流れとかを知っておくと楽ですね!


 パーツの手配に関しては特別難しいことはないかな……遊舎工房さんやTALPKEYBOARDさんのようなお店で使うパーツを揃えましょう。組み立てに必要な器具が無ければ、たぶんそこでまとめて揃えられるかもしれませんね。

 最近は海外のショップ以外にも、Amazonで購入できるものが増えているようなので選択肢は広がっているようです(信頼できるショップかどうかの精査が大変ですが……)。私は海外とのやり取りが面倒臭いので(選択肢は狭まりますが)遊舎工房さんとTALPKEYBOARDさんを愛用しています。何かあった時に問い合わせで言語的な問題を挟まないのがストレス無くて良いです(今のところ、そういったトラブルも殆ど無いですが)。


 う~ん……他に、私みたいな素人から始める時に不安な事って何があったかな……。私の場合はとにかく、はんだ付けがネックでしたし、アクリル加工の依頼が不安だったのが大きいですね……。ああ、あとはファームウェアのための環境構築ですか。あれはちょっと面倒だったですね。サリチル酸さんが同人誌執筆の際に参考にもしたいのでと、素人が躓きやすいところを確認しながら教えて頂いたのでどうにかなった感じです。この当たりは『自作キーボード設計ガイド Vol1』を読みながら進めれば大丈夫だと思いますが。Vol2まで出ていますが、とにかくVol1まででも基礎的な部分から学べますので、そちらだけでもオススメです!

 なんとなく思い立って書いてみましたが、参考になるんですかね、これ……。この記事が誰かのきっかけになれたら幸いです。


この記事はActy-45で書きました。

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