【自キ】J73GLをあらためてレビューしてみよう【J73GL】

　J73GLはサリチル酸さんが設計された73キーの日本語配列キーボードです。

・はじめに

　2021年12月にGBが開始されたGL516という金属ケースと共に同時にGBが開始されたJ73GLはGL516互換キーボードのひとつとして発表されました。2022年3月に発送が開始され、その後ストック販売へと移行しています。

　ケース自体に工夫が施されていて、購入者がカスタマイズしやすい、自分好みに調整しやすいという特徴を備えたキーボードです。

・GL516とは

　GL516はサリチル酸さんが基板設計やケース設計を通じて感じられた不満点、問題点を解消すべく設計された金属ケースです。一般的なケースではキー間にネジ受けが入ることでレイアウト的な制約が生じるということですが（設計初心者、しかもサンドイッチマウントでやっている私にはまだ味わったことのない制約ですが……）、GL516ではケース両端にネジ受けを設けることで回避されています。

　また、デザイン面でもケース上面にデザインプレート（アクリルブロッカープレート）を装着することでキースイッチが存在しない空間を埋め、見栄え良くすることが出来ることもこのケースの特徴でしょう。さらに、オプションとしてBOOTHにて頒布されているアイテムを使用すれば、さらにカスタマイズ可能な点も魅力的です。

　GL516の最大の特徴は、デザイン的なものもありますがやはり互換基板設計のためのガイドが公開されている点でしょう。これに従って進めていけば、GL516互換基板を作れるようになっています。

・J73GLの特徴

　J73GLはGL516の頒布に併せてリリースされたふたつのGL516互換基板のひとつで、日本語配列基板です。GL516との組み合わせで使用することが想定されており、遊舎工房で購入することが可能です。（J73GL、GL516）

　レイアウトはオーソドックスな65％日本語配列といった感じで、一般的なTKLモデルよりもコンパクトながら使いやすい使用感です。スペースキーが分割2U（1U＋1U）となっており、Remapで機能を割り当ててレイヤー操作のために割り振れば指を動かす距離を縮めたり、効率的に使うことが出来るでしょう。

　日本語配列のキーボードということで驚くべき特徴、と言えるほどのものはありませんが、GL516という金属ケースとの組み合わせはしっかりとした安定感、快適な打鍵感を味わうことが出来ます。好みのキースイッチと組み合わせれば、快適さと心地良さが最高なキーボードとなることでしょう。私自身は現時点でJ73GL＋GL516を『限りなくエンドゲームに近いキーボード』だと思っています。

　日本語配列の自作キーボードというのはこのブログでも何度か触れていますが、なかなかに少数派なようでして、このJ73GLは日本語配列の経験しかない、環境的に日本語配列のキーボードが望ましいという方に安心してオススメ出来る自作キーボードのひとつです。

　そしてJ73GL基板は部品のほとんどを工場で組み付けてあり、はんだ付け箇所が少ないという特徴を持ちます。まだまだはんだ付けに苦労しているという私のような人間、これからはんだ付けに慣れていこうという人間にとっては組み立てが比較的優しい自作キーボードであると思います。

LED搭載なので光ります

・数少ない欠点

　日本語配列自作キーボードの宿命ですが、日本語配列対応キーキャップの選択肢が英語配列と比べて少ないことが、数少ない欠点であると言えるでしょう。これはJ73GLに非があることではありませんが、本当に、もう、悲しいくらいに、悔しいくらいに自分好みで最高なキーキャップを組み合わせるのは容易なことではありません。私もたまたまタイミングがあって素敵なキーキャップを手にできましたが、その後欠品していましたので……。

　日本語配列キーキャップは完全に無いわけではありませんので、FILCO Majestouchシリーズ専用交換用キーキャップセットのカラーバリエーションやGB等のキーキャップをチェックしておくと良いでしょうね。……私はあまり真剣に探していなかった時に好みのキーキャップのGBを逃しました。

・日本語配列環境を維持しつつ、上質なキーボード環境を作りたい人に

　J73GL＋GL516は主にGL516が金属ケースということもあり、金額だけを目にすれば決してお手頃とは言えないかもしれません。ですが、しっかりとした金属ケースと日本語配列の使用感、打鍵感は廉価販売されている市販キーボードとは異なる上質な味わいがあり、満足感高いものであると思います。金額に対する感覚は各々で異なると思いますし、それが持つ価値観もまた異なるでしょうが、私は安いとは言いませんが高いとは感じませんでした。それはちょっと奮発して良いものを買ったなという満足感と、その後の実用面での満足感で十分に満たされるものだと感じています。

　環境的に日本語配列を維持したいけれども自作キーボードを使いたい、どうせならちょっと高級感のある良いキーボードが欲しい……そんな人にオススメの自作キーボードです。

参考程度ですが、タイピングテスト動画をどうぞ

・おわりに

　はんだ付けが少なく、それでいてカスタマイズ性の高いJ73GL＋GL516の組み合わせは組み立てた後も「これを試したい」が出来るキーボードです。私も打鍵感向上用シリコンパッドで打鍵感の向上を試みたり、ケース底面にPronシートを入れたりして試行錯誤しています。そういう楽しみ方が出来るのも嬉しい、そして楽しいキーボードだと思います。

この記事はJ73GL＋GL516で書きました。