【自キ】「なる早、楽にオリジナルの自キを組んでみたいんだけど」【設計】

 どうもこんにちは、こんばんは、おはようございます。初めましての方ははじめまして。自作キーボードを趣味のひとつとしているアマチュア作家、芥川愛之助です。成人向けでさらにニッチなジャンルを扱っているので探さないのがお互いにとって幸せです。

 さて、先月アップした記事のひとつ、『【自キ】素人から始める自作キーボード設計、どうなの?【設計】』がここ最近で最もアクセス数があったため、「なる早、楽にオリジナルの自キを組んでみたいんだけど」的なニーズがあり、そういう記事を求めている人が少なくないのかな? と思いましたので今回の記事を書いてみました。

 結論から言いますが、「そんな道はない」です。



 私もまだまだ初級者ゆえ、私が知る範囲でのお話をしていきましょう。違ったらごめんなさい。ただ、私の場合はこうでした、というお話です。


 自作キーボードを作る上で一番早くて簡単なのは、組み立てサービスのあるショップ又はサービスで自キのキットを購入し、組んでもらうことです。私が最初に手にした自キはまさにそれで、堕落猫さんのYamada75 Goをはんだ付けサービス込みで購入しました。私がしたのは選んだキースイッチとキーキャップを組んで、マスキング貼ったりゴム足付けたくらいです。楽をして自キ沼に踏み込むきっかけを与えてくださった堕落猫さんには感謝してもしても足りないくらいです。

 次は、自分ではんだ付けをする箇所が少ないキットを購入すること。おそらく初めて手を出す人が躊躇するのがはんだ付けかなと思います。工業系の学校とか通わないと、中学くらいで使うのが最後という人は少なくないんじゃないかなぁと。そのはんだ付けを自分でやる箇所が少なければ、苦労する部分は少ないですよね? 基板にダイオードやソケットがはんだ付けされていれば、たぶんマイコンだけはんだ付けすれば良いって感じだと思うので、そういうキットを探すと良いですよね。


 おいおい、俺は組みやすいキットを探すとか、そういう話が聞きたいんじゃねえんだよとお思いの方。わかっています、でもこれは必要な前振りです。……前振り、か?

 オリジナルの自作キーボードということは、あなたが考えた「さいきょうのきーぼーど」ですよね? それを「なる早、楽にオリジナルの自キを組んでみたいんだけど」と。……そんな美味い話、あるわけないじゃないですか


 オリジナル自作キーボードを組む上で必要なことを、箇条書きしてみましょう。

・レイアウト

・レイアウトに沿ったプレート(基板含む)

・配線図(最悪、脳内でも可)

・部品

・道具(PC含む)

・ファームウェア

 この中でお金をかけず、すぐに用意できるかもしれないのはレイアウトです。「おれのかんがえたさいきょうのれいあうと」ってやつです。KLE(Keyboard Layout Editor)でコネコネしたら、できあがりです。頭の中に、すでにレイアウトが出来上がっているのであれば、ここは苦労しないでしょう。

 出来上がったレイアウトを立体として完成させるために必要なのがプレートです。自作キーボードはいくつかスタイルというか、ケース有り無し、プレートの使い方で種類がありますが、最小構成だとキースイッチプレートと基板だけという潔いスタイルがあります。私も愛用しているYamada75 Goがまさにそれです(旧バージョン)。それ以外だと、キースイッチプレート、基板、ボトムプレートの3枚構成が安心で安くて簡単なスタイルですかね。……で、肝心なのはこれらは基板を必須とした構成だということです。基板を設計して、発注するのは「なる早、楽に」には入らないと私は思います。

 配線図は書いてある通り、ちゃんと使えるものが頭の中にあるのであれば、実際に書き出さなくても良いでしょう。ただし、完璧に覚えているということであれば良いですが、通常は事故防止も兼ねて出力しておいた方が安心ですね。私はレイアウトを印刷したものに線を引いてどこにつなげるかを書いておきました。……ちなみにこれ、空中配線だからですね

 部品、道具、ファームウェアは、まあ割愛しましょう。PCはマイコンへのファーム書き込み等、必要なので必須です(言葉が被っている気がしますが)。

 さて……この箇条書きだけでも「なる早、楽に」が簡単ではなさそうな雰囲気を感じていただけたでしょうか? とはいえ、比較すれば「なる早、楽に」出来る方法が無いわけではありません。そう! それが空中配線です!



 とはいえ、空中配線はそもそも楽ではありません。面倒なはんだ付けが組み立てのメインとしてこれでもかと必要になってきますし、基板に部品付けする以上に面倒です。部品が基板上に固定できたり置けたりするのと異なり、空中配線ではまさに空中に部品を置くことになるため、はんだ付けの難易度は基板上でのそれを上回ります。3Dプリンタでケースを作る場合はそれ用のガイドを設定することも出来ますが、3Dプリンタをご自宅で所有していたり、依頼出来る3Dデータを作成できるなら、こんなところに迷い込んでは来ないでしょう。たぶん。
 空中配線のデメリットは上記のような感じですが、メリットとしてはキースイッチが固定できさえすればどうにかなる、という点が挙げられるでしょう。実際に私が作ったオリジナルキーボードは、スイッチプレートとボトムプレートをレーザー加工サービスにお願いしただけで、出来上がったアクリルプレートにキースイッチをはめて、はんだ付けでダイオードとマイコンを繋げています。アクリルのカット依頼は3Dプリントを依頼するよりは簡単だと思います。

 私はまだ実現できていませんが、キースイッチプレートを自前で用意できるのであれば、作業時間以外に必要となる輸送待ちの何も出来ない時間は無くなるでしょう。とはいえ、プレート加工の依頼は部品手配と似たようなものなので、多少時間が短くなる程度かもしれませんが……。私が現在考えているのはアクリルプレートの代わりにプラ板積層で出来ないか、というものですが……最低限必要な剛性を確保できるかがわかりません。木材も結構厳しそうですね。というか、スイッチ用の穴を加工するのがそもそも大変ですね……。

 こうしてダラダラと挙げていっただけでも、「なる早、楽に」が如何に大変で遠い目標であるかがお分かりいただけたのではないでしょうか? それでも、比較としては空中配線でのオリジナルキーボード製作は基板を使ってのそれよりは「なる早」です。楽ではありませんが、基板設計と発注から受け取りまでの過程を考えると、人によっては楽に思うかもしれませんね。なので、結論としては「なる早、楽にオリジナルの自キを組んでみたいんだけど」という人に対する回答としては「大変だけど空中配線に挑戦してみたら如何?」となりますね。


 私と同じやり方で空中配線での自作キーボード製作をするのであれば、部品手配以外で面倒なのはプレート加工依頼と配線、ファームウェア作成でしょう。ただ、その辺りの話はblog記事や同人誌がありますし、そういったものを読めばなんとかなるんじゃないかなと。多少大変ですが、キースイッチプレートのデザインと依頼先フォーマットへの適合が出来ればあとは何とかなると思いますね。ボトムプレートはキースイッチプレートからキースイッチ穴を無くせば良いだけですからね!
 私レベルからすると空中配線でのオリジナル自作キーボード製作は簡単だよとは言えませんが、基板を設計して手配することをオミットできるのでメリットは大きいですね。なので、自作キーボードを組んだことのある人で、基板設計は苦手(または出来ない)けれどもオリジナルキーボードを作りたいという人がいたら、ちょっと空中配線を考えてみるのは悪くないんじゃないかなと思います。ただしそれは、決して「なる早で、楽に」ではありませんけれどもね……。

この記事はActy-31で書きました。

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