【自キ】30%キーボードを作ってみよう その4「組み立てる」【設計】


 前回の記事は「プレートの加工データを作る&加工依頼する」でした。今回はいよいよ組み立てに入ります。ハードウェア的な要素はここまでになります。



 用意するのは各部品、道具です。はんだ付けをするので、換気や目の保護が出来ると安心です(というか推奨されます)。

 道具としてははんだごて、はんだ、接着材。安全のために保護メガネ、マスク、耐熱手袋等準備をしておくと安心です。また、換気は必須です。はんだ付けに慣れていない、殆どやったことがないということでしたら、事前にはんだ付けに関して調べておくと良いでしょう。

 部品は、今回の作例では簡単・最小限なものとなっています。前回触れていますが、スタビライザーに関しては対処が必要なため、この作例ではスタビライザー無しで進めます。


・部品

 スイッチプレート/ボトムプレート

 ProMicro互換基板

 キースイッチ

 導線

 ダイオード(1N4148)

 キーキャップ

 ネジ/スペーサー

 ゴム足


 ダイオードは長い足があるタイプのダイオードです。(スルーホール対応のもの)


 スペーサーに関してはネジ穴があるタイプのものを使用します。これをネジとスペーサーで挟むことでプレートを固定します。



 ザックリとした構造ですが、こんな風になります。空中配線では基板を使用しない代わりに、このプレート間に配線を入れて機能させます。

 画像では省略されていますが、プレートとスペーサーはネジで固定です。簡単なサンドイッチマウントタイプの構造ですね。



 空中配線で2mmアクリルを使用する場合、溝掘り加工をしなければキースイッチをプレートに固定することは出来ません。なので、接着材等で固定することになります。グルーガンのようなものでも構いません。大事なのはキースイッチがしっかりと固定されることです。

 上の画像は別のキーボードを作成中に撮った画像ですが、プレートを裏返しにした状態です。この状態でキースイッチを固定し、配線をします。なお、瞬間接着材は白化現象というものを起こすので、使用の際は注意が必要です。拭き取れる白い汚れのようなものが付着します。

冒頭の画像ですが、まさに白化しています(左下が顕著)


 キースイッチの端子とダイオードをまずは繋げていきます。やり方は色々ありますが、基本的には縦を導線、横をダイオードで繋げていく感じでやっています。


Acty-31の配線
横一直線の線はダイオードの足をはんだで繋げている


 横はひたすらダイオードをはんだ付けして、隣のダイオードと繋げて……でOKですが、縦は表面から見て左から繋げていくのが良いかなと思います(裏だと右)。この辺りは次にやるファームウェア作成で多少はどうにかなる部分ではありますが。

 上の画像、Acty-31では縦が3キーずつの楽な(?)構成なので、基本的に縦を3つずつ×10のはんだ付けを行い、最後の1キーだけ単独になっています(31キーなので)。それらを最終的にマイコンへと繋げていくわけですが、縦11の横3で14本の導線で繋げることになります。


裏から見た場合の簡易的な配線

 配線に関しては私もヘタクソなので偉そうなことが書けないのですが(苦笑)、自作キーボードの手配線や空中配線で検索をかけるとブログでまとめられている方の記事が出てきますので、それらが大いに参考になると思います。私もそうして学んでいったので、大丈夫だと思います。
 ファームウェアに関してはQMKの大きな変化がありましたが、配線に関しては変わらないので古い記事でも参考になると思いますのでご安心ください。配線で注意するのはとにかく(ラインとして)正しく繋ぐこと、接触不良を起こさないことです。はんだ不足や短絡(ショート)で動作不良を起こす(最悪、破損)ので、その点には慎重になりましょう。
 ちなみに、私が初めて取り組んだ際に参考にしたブログがikejiさんのブログと、おかゆさんのブログでした(他にも要所要所で参考にしたものが多々あったと思いますが、特にこのおふたりが書かれた記事に助けられています)。画像付きでわかりやすいのがありがたいです。


 最後に縦と横、それぞれから引っ張った配線をマイコンに繋げていきます。


 ProMicro互換基板の場合、最大で18のピンが使用できます(ザックリ言うと、上の画像でD3とか書かれているもの)。自作キーボードとProMicro互換基板を繋げる場合、縦と横の配線がこの18より少なくなければ色々と工夫する必要があります。ただ、今回のような30%くらいのサイズであれば問題なく納まるので、難しいことをする必要はありません。
 ファームウェア作成時にどうにかなる部分ですが、分かりやすく横の配線→縦の配線という感じでピンと繋げていくのが安心確実と思われます。私の場合は上の画像で言うところのD3から始めて(GNDを飛ばし)、横の配線が終われば続けて縦の配線、という感じで繋げました。
 まだファームウェアについて触れていない場合は意味が分からないかもしれませんが、ファームウェアの記述とマイコンへの接続は一致させる必要がありますので、実際に私がActy-31で繋げたピンの記述を抜粋しておきます。

   "matrix_pins": {
       "cols": ["D3", "D2", "D1", "D0", "D4", "C6", "D7", "E6", "B4", "B5", "B6"],
       "rows": ["B2", "B3", "B1"]
    },

 それぞれ『cols』と『rows』というパラメータにピン番号が振られていますが、これらがそれぞれ『横の配線』と『縦の配線』のことを指していて、左から順番に、上から順番に……という感じで繋げています。実際の配線とファームウェアの記述が合っていれば、これでどのキーを押したら反応するかが機能するわけですね。
たとえば、『q』というキーを反応させるためには『q』キーが接続されている横の配線がD3、縦の配線がB2に接続されている必要があります。今はそういうものだと思ってください


 配線が終われば、あとはプレートをネジ止めしてキーキャップを付ければ完成……ではありませんね(苦笑)。このままではキーボードとして機能しないので、機能させるためにファームウェアを作成しなければなりません。私がかなり苦手とするパートですが、可能な限り参考になる資料等提示して一緒に乗り越えられるようにしたいと思います(苦笑)。

 というわけで、次回は「ファームウェアを作る」です。


この記事はActy-31で書きました。

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