【自キ】30%キーボードを作ってみよう その2「レイアウトを考えてみる」【設計】
前回の記事は「レイアウトを考える前に」でした。今回はKLE(Keyboard Layout Editor)を使ってレイアウトを考えてみます。
http://www.keyboard-layout-editor.com
KLEにアクセスすると、最初はテンキーのレイアウトと文言が表示されます。KLEの画面上にあるメニューからPresetをクリックして代表的なキーボードのレイアウトを表示できますが、最初のうちはそれらを自分なりにいじって、自分の使いたいレイアウトを追求すると良いかなと思います。今回はその行程を飛ばしますが、時間のある時に是非やってみてください。
レイアウトが表示されている点線の枠内で左クリックを押しながらポインタを移動すると、赤い点線の枠が作れます。それらで表示されているキーを囲むと、複数選択が出来ます。選択した状態でDelete Keysを押すと選択したキーが全て消去されます。Ctrlと左クリックで複数選択も出来ますので、「ここは要らないかな?」というキーが複数出来た場合は適宜使い分けて消してください。
真っ新なレイアウトにキーを足していきましょう。この時意識するのは「最低限必要なキー」です。文章を入力するという点において、必要なのはアルファベットとエンターやバックスペース等です。Add Keysでキーを足していきます。キーサイズはWidthの数値を弄れば変更できます。
◯◯Legendと書いてある項目にはKLE上のキーに刻印を追加できます。上段・中段・下段、左・中央・右、キーキャップ前面等の様々な箇所に文字を入れられるので、雰囲気確認やどんなキーを入れたいのかをハッキリさせるために、有効活用しましょう。
上の画像でアルファベットが小文字なのは筆者の趣味なので、気にしないでください。上の画像でA~Zと『,』、『.』が打てるようになります。エンターで改行、バックスペースで削除も可能です。CtrlとShiftは『,』、『.』と同居させていますが、これは『タップ&ホールド』機能で対応できる部分です。ちなみに『,』、『.』はShiftと組み合わせると『<』、『>』になります。ただし、『>』は上の画像ですとShiftと同じキーになってしまうため、別途他のキーにShiftを割り当てる必要があります。私の場合は、これなら『z』にShiftを割り当てます。
普通の文章を打つには、日本語ということを考えると(これを読んでいるのは日本語が読める、日本語を使用している方だけだろうなと思っていますが)このキーマップでは不十分です。日本語で文章を打つには言語変更のキーと変換・無変換キーが必要になります(変換に関してはスペースキーでまかなうことも出来ますが)。また、私のように変に日本語文章を打つ際のルールを遵守(注1)する場合、行頭一字下げをするにはスペースキーも必要です。
(注1:筆者はアマチュア作家活動をしているため、小説的なお作法を使用しています)
layerキーをひとつ、入れてみました。一般的なキーボードに使われている装飾キーも使えるようにします。なんとなく、使えるかもしれないと思えるキーボードになってきましたでしょうか? ところがこれでは不十分です。このキーボードにはアローキー(矢印キー)がありません。また、F1以降のファンクションキーもありませんから、ソフトやブラウザの操作に必要なキーが足りていないということになります。
画像で入れ忘れましたが、半角/全角をlayer2以下に入れておくことで日本語とアルファベットの切り替えが出来るようになります。(注2)
(注2:以降の画像でも入れ忘れていますので、どこかにあるものだと思ってください)
機能モリモリ(?)でlayer3までを使えるようにしました。『b』長押しでlayer2、『n』長押しでlayer3に移動できます。表示上の問題で画像には入れていませんが、layer3で『q』を打つとEscキーになるように設定出来ます。『k』と『l』には地味に使うかもしれない『;』と『:』をlayer3に入れておきます。画像に載せ忘れましたが、『「』と『」』も日本語文章を打つ時には結構使うことがあるかと思いますので、layer2の『k』と『l』あたりに入れるのが良いかなと思います。
layer1キー(QMK Firmwareの機能としてはTOキー等)は普段は仕事をしないキーになってしまうので、通常のキーとしては『・(?)』を設定しておいて、ホールドでlayer1となるように設定しましょう。ちなみに『1』をShiftと組み合わせることで『!』が打てますから、これである程度の文章は打てるようになったはずです。
私が今回の例として提示したこのキーボードは、私が愛用している自設計キーボード、Acty-31と同じ31キーです。ただし、一般的なロウスタッガードと同じになるように設定しつつ、キーのサイズを調整しています。
キーキャップも例として挙げたレイアウトの方が揃えやすいかもしれません。layerキーは他でまかなう必要はあるかと思いますが、それ以外は何とかなりそうな気がします。
個人的な好みとしてはスタビライザーを使った方が良いサイズのキーが入るのは避けたいところですが(製作上、管理上の都合から。あっても構わないし、大きいサイズはあった方が安定すると思っていますが)。
ちなみに、このサイズ、キー数ですと既に名作と言える自作キーボードがあるわけですが、全く同じ配置で同じサイズ・キー数のコピー品でないなら作る意味はあると思います。個人的に、「私にとっての逸品が他の人にとってそうであるとは思わないし、その逆も又然り」というのは常に思っていることです。些細な違いも、そういうところに影響したりすると思うんですよね。「ここだけがこうだったなら……」と思う部分があるなら、それが貴方にとっての理想(またはそれに近いもの)なのかもしれませんよ?
今回は私がActy-31をベースに、普通のロウスタッガードに慣れた人が戸惑わないかもしれないレイアウトの30%サイズを考えてみました。これはロウスタッガードでなくても良い訳で、オーソリニアでも良いと思いますし、カラムスタッガードも良いでしょうね。重要なのは「自分が使いたいキーボード」であること。30%は作りやすいしお試しに良いから作ろうよ、と誘っているわけですが、肝心なのは出来たキーボードを使えるということ。使われないキーボードは悲しいですからね……。
次回は「プレートの加工データを作る&加工依頼する」です。キースイッチプレートとボトムプレートを、便利なサービスを利用して作成してみましょう。
この記事はActy-31で書きました。
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